流通最先進国アメリカの優良スーパーマーケットに学ぶ

日本のスーパーマーケット業界の将来を予測する上で、欧米の業界を俯瞰(ふかん)することは重要です。特にスーパーマーケット発祥の地、アメリカは自由競争の下、革新のスピードが大変速く、今でも日本の10数年先をいっているといわれます。その流通最先進国アメリカにおいて、キラ星の如く輝き続けるスーパーマーケットを紹介します。

アメリカのスーパーマーケット業界の大再編の過程と現状

画像1980年代中盤に非食品のディスカウントタイプの店舗で世界No.1の小売企業となったWal−Mart。同社が、スーパーセンターという新しい形態の店舗(業態)で食品小売業界へ進出し、急速にシェアを拡大したことにより、スーパーマーケット業界には激震が走りました。これが巨大なうねりとなり、全米で既に1,000〜2,000店舗を展開するAlbertosonsなどの大手スーパーマーケットチェーン同士による怒涛のM&A合戦が勃発。2000年頃までには、業界大再編は収束しましたが、結果としてWal−Martの脅威の前に規模拡大競争に明け暮れた大手チェーンは急速に活力を失うと同時に、生活者の支持を失いました。そして、多くのチェーンは現在も不振にあえいでいます。(2008年現在、Wal−Martは食品売上高でも世界No.1企業になり、年間売上高は約42兆円。※トヨタ自動車の2倍強)

一方、業界再編の中で自社の方向性を見失うことなく、地域にしっかりと根ざし、独自の顧客創造に取り組み続けた多数の中堅・中小ローカルチェーンは、存在感を増し、着実な成長を続けています。そして、そこ働く従業員の多くは、自分の仕事や顧客、そして地域への貢献に誇りを持ち、いきいきと働いています。食品を中心に取り扱うスーパーマーケットは、地域に暮らす生活者のために存在します。生活者にとって重要なことは、企業規模の大小ではなく、その店舗がどれだけ自分たちに対して必要な商品、サービスを提供してくれるかということ。どれだけ安心して、快適で楽しい買い物ができるかなのです。アメリカの大手スーパーマーケットチェーンの没落の主因は、規模メリット(価格交渉力、高効率)の追求を優先したために、最も大切なスーパーマーケットのミッションをおざなりにしたことではなかったのでしょうか。

1.Stew Leonard’s社

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本社所在地:コネティカット州ノーウォーク
店舗数:4店舗

スーパーマーケット版ディズニーランドと称されるStew Leonard’s社は、世界で一番有名かつ、売場面積当りの売上高が高いスーパーマーケットで、1店舗の売上高は、なんと100億円を越えています。ユニークなのは、アメリカの食品スーパーマーケットが平均で約3万アイテムの商品の品揃えをしているところを、わずか2千アイテム、つまり10分の1に絞り込んで、この驚異的な売り上げを実現しているところです。
Stew Leonard’s社の出発点は、コネティカット州の牧場経営のかたわら牛乳販売店を営む小さなお店。店舗の外観は農家風で、店内にはパン工場やミルク工場を併設し、市場のようなにぎわいの中で、野菜、肉ほか新鮮な食品がところ狭しと陳列されています。店内は、ボタンを押すと牛が鳴いたり、牛乳パックで作った人形の楽隊が天井に近い壁で演奏したりと、エンターテインメント性あふれる作りになっています。また、フレンドリーな従業員や商品の鮮度、品質、価格は、熱狂的なファン、特に家族連れをひきつけてやみません。まさに、孤高の“The Supermarket”と呼べるでしょう。

2.Wegmans社

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本社所在地:ニューヨーク州ロチェスター
店舗数:76店舗

巨大な食品館として、高品質の商品と群を抜く品揃えで超繁盛店を展開するWegmans社。店舗で最大のものは、1万200平方メートルもの面積を誇ります。米国のスーパーマーケットの平均店舗面積が4000平方メートルですから、そのおよそ3倍の面積になります。この面積で、平均週販が95万ドル(約1億450万円)(スーパーマーケット業界平均は24万ドル:約2640万円)ですので、3倍の面積で4倍の売り上げを実現していることになります。その驚異的な売り上げを実現する店舗の特徴は、他を寄せつけない高品質の生鮮、レストランを超える惣菜(デリ)の充実、そして牛乳、卵、加工食品など日常必需品に関しては、その真逆ともいえるEDLP(Every Day Low Price:毎日が低価格)を実践している点です。他では到底真似のできない高度なレベルの融合を、人間味あふれるリーダーシップのもと、従業員が高い意識を持ち、確実に実現しています。

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